◆◇◆ 代表ご挨拶  (2018.4.1)


利便性に満ちた私たちの消費生活は、それを支えてくれる豊かな自然なしには成り立ちません。水も空気も豊かな生態系からの贈り物。衣食住に必要な資源の提供はもとより、医薬品の原料も生物資源に頼っています。その源泉は生物多様性あってこその恵み。地球上に住む生き物はわかっているだけで175万種。北海道では1万5,000種。それらが互いに繋がりをもち、生命を支え合いながら絶妙なバランスで豊かな生態系が保たれています。その中で、動物にせよ、植物にせよ、一つの種だけが膨大に増えたり減ったりすることは生態系に多大な影響をもたらします。 


何もしなければ年20%の割合で増えていくというエゾシカの繁殖力。いま、森では樹木の皮剥ぎ、稚樹や萌芽の採食が表土の保全力を低下させ、大雨での土砂崩落を引き起こすという状態が起きています。これを放置すれば、北海道の生態系バランスが崩れてしまいかねません。車との衝突事故など、人との軋轢も増えてきました。人とシカとの共存の知恵が今ほど問われているときはありません。 


平成26年4月、道は「北海道エゾシカ対策推進条例」を施行。エゾシカを道民の共有財産とし、食や観光などへの有効活用を打ち出しました。まずは、増えすぎたシカの個体数を減らすことが急務です。しかし、害獣とはいえ、シカも尊い生命体。単に駆除すればいいという問題ではなくなります。エゾシカとしても命を奪われた後、一般廃棄物として生を終わるのでは余りにも無念でしょう。食肉として、工芸品として活用することで彼らの命は他の生命体に取り込まれ、生き続けることができる筈です。それはそのまま、シカ達への供養となるにちがいありません。


 害獣エゾシカが北海道経済を立て直す。食に関して言えば、欧米ではシカ肉はベニソンと呼ばれる高級食材。中国では古くから漢方薬の原料として用いられ、幸福・健康・長寿をもたらす聖獣だといわれています。高蛋白、低カロリー、鉄分豊富で低脂肪。おまけに地産地消とあって食品輸送に伴う二酸化炭素の排出量を抑え、環境保護にも一役かってくれそうです。幸いにも「ジビエ」が近年、脚光を浴び始めています。ジビエという仏語には供養という意味もあるそうで、シカにとっても人にとってもハッピーなことだと言えそうです。


 「エゾシカ条例」は、道民にエゾシカ対策に理解を深め、北海道が実施するエゾシカ対策に協力するよう求めています。シカ肉を食したり工芸品を購入したりと有効活用するのはあくまでも消費者です。この消費者行動を推進するためには、行政や事業者からだけではなく、消費者から消費者へとエゾシカ情報を発信することが重要ではないでしょうか。活動の行きつく先が、駆逐の果ての有効活用では夢がありません。エゾシカを主体とした新しい文化の創造という壮大なロマンを目標にしたいものです。


折しも、2015年9月の国連総会でSDGs(持続可能な開発目標=地球環境の悪化を食い止め、貧困や格差を解消して人々の生活を持続可能なものにするための17の目標))が採択されました。地球環境の悪化を食い止めるためには、地球という自然と生物の「共通の家」を守る努力が必要です。一人ひとりの意識変革と行動なくして、持続可能な社会の構築は不可能です。私たちの活動は小さな団体の小さな歩みにすぎませんが、SDGs17目標12(つくる責任・つかう責任)、15(陸の豊かさも守ろう)に合致すると自負しています。

世界の潮流に乗り2030年に向け、しっかりと歩を刻んでまいりたいと思います。


◆◇◆役員紹介


顧 問

鎌田公浩

代表者 武田佳世子

代表代行

石黒敬男

副代表 棚川伊知郎・菊地 隆・水崎 呈・鄭権
タスクホースリーダー 板倉修一

会計部長

工藤いさ子
会計監査

吉田省子(北海道大学大学院農学研究員客員准教授)

板倉修一・宇野啓介

事務局長

棚川伊知郎

事務局 

中村重徳・細山惇子・

学術部長

鄭 権 (薬学博士)

学術部

板倉修一・菊地 隆・谷口健雄

ハンター

板倉修一・松前健太・別府剛一郎・渡辺綾子・金子恵美・鄭 権

調理部

宇野啓介・石黒敬男・工藤いさ子・北野智恵美

工芸部

菊地 隆

広報部

 法元盛信・菅原義恵・ 佐藤朋子・玉井満美・ 村越立樹・星野武志・ 中村貴代・棚川伊知郎

Web頁 英訳担当

棚川伊知郎
ホームページ運営管理者 武田佳世子・板倉修一
Facebookページ運営管理者 武田佳世子・棚川伊知郎
 


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北海道エゾシカ倶楽部規約 .pdf
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   北海道が大好きなタイの Kitti Treerattanapongさんからお寄せいただいた写真です。