北海道開拓の玄関口として発展した小樽港に程近く、観光客でにぎわう堺町通り商店街。旧銀行や旧商店街などの歴史的な建造物や土産店などが立ち並ぶこの通りの一角にあります。
「水芭蕉」は1997年に開業。北海道の職人が生み出す革製品を販売している。扱うのは、牛、馬、鹿…。そして、蝦夷鹿の皮革を使った鞄。
「鹿革の最大の特徴は軽くて柔らかいこと。もともとは牛革をメインに取り扱っていましたが、「革は重たい」というお客様の声 があるなかで、軽くて柔らかい鹿革の特性を生かした商品を手掛けるようになりました」とは、店長の丹伊田(にいだ)晋也氏。
「我々が取り扱っている革製品は食肉利用の副産物です。海外では食肉用の鹿農場があるため、海外産の鹿革は傷が少なく品質が安定したものが入手しやすい。しかし蝦夷鹿は“野生”です。森で生きている中で、または捕獲される際などに受けた傷が多いことが、製品化の壁になる」(丹伊田氏)
ジビエが注目されたことから鹿革の流通量もわずかではあるが増加したものの、納得いく品質のものはなかなか出てこなかった。そんな状況を変えたのが、エゾシカレザーメーカー「EZOPRODUCT(エゾプロダクト)」との出会いだ。失われた命を受け止め、レザー製品として新しい命を紡いでいく。「EZOPRODUCT」は、北海道にある蝦夷鹿専門のレザーメーカー。皮革の物流、製造、企画などを手掛け、蝦夷鹿の皮革利用の分野では最も古いメーカーの一つである。
「初めてEZOPRODUCTの革に触れた時、鹿革の長所“軽さ・柔らかさ”にこだわっていて、品質もよく、今まで見た蝦夷鹿の革とは全く違うことに驚きました。(丹伊田氏)
「EZOPRODUCT」は失われた命に、革製品として新たな命を吹き込み“イノチヲツナグ”を信条に、野生動物との共生を目指して16年前から活動。代表の菊地隆氏はNPO団体「エゾシカ利活用協議会」代表であり、全国の自治体や企業・学校などで講演も行う。
品質のよ い革製品を作るには、野生である蝦夷鹿の原皮(なめす前の状態の皮)を如何に 良 い状態で調達できるかがカギとなるが、こうした活動が認知され 「 理念 を理解してくださっている 10 か 所ほどの食肉処理 施設 から原皮を仕入れているので、蝦夷鹿の中でも傷が少なく状態の良いものが入手できています」( 菊地氏) 。
「ウエア、バッグ、家具など用途によって、なめし加工の仕上がりを変えている」ことも、品質が高い理由 の一つ。 「蝦夷鹿の皮革は 柔らかくて軽く、触った 時 の質感がフワっとしている。 丸み がふっくら出るので女性向けのデザインにはピッタリ。
but「エゾシカの革はその繊維構造上、色がぼけやすく、ムラも出やすい」ので、 自然の染料を使ったタンニン鞣しにこだわり、試行錯誤 を 重ねてきた(菊地氏)。
北海道発の2 つの企業が共鳴し合い、鞄として生まれ変わった エゾシカの命。
思いの詰ま ったこのアイテムをあなたの愛用品に 加えてみては如何だろう。
TEL:0134- 24- 5241
営業時間:9:00 18:00 定休日:なし
公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子
060-0808 札幌市北8条西3丁目 札幌エルプラザ2階
TEL :011-728-8300 / FAX 011-728-8301 E-mail:ezoshika_club@yahoo.co.jp