◇◇◇「ここまで来た!エゾシカ被害」◇◇◇


エゾシカフェスタ2015


講演❶は、北海道環境生活部エゾシカ対策課永安様です。

エゾシカ対策の最前線で活躍されている現場から最新情報をお聴きすることができました。それによるとエゾシカの頭数・被害額はここ数年減少傾向にはあるが、依然として農業被害や自然の生態系のバランスや車両事故等を引き起こす深刻な問題には変わりなく、昨年施行された北海道エゾシカ対策条例に基づき多角的な対策を行っているとのことです。




数十年かけて育てた樹が食べられる。昔、高い山にシカはいないと言われていた。ところが今では高山のお花畑が食い荒らされている。

被害のピークは63億円に及んでいる。数字に現れない被害にも目を向けなければならない。たとえば山中のホテルだ。客を迎えるために植えていた花が食べられてしまう。

そればかりではない。最近では、シカが小学校の庭や、保育園の庭先にまで現れることがある。これをアーバンディア(街中に表れたシカ)と呼んでいるが、追いかけると危険である。シカがパニックに陥るのだ。シカも、街中では銃で撃つことはできない。麻酔銃で撃って山へ返すようにしている。だが、即効性はない。撃たれたことでシカはびっくりする。

とにかく近寄らないことだ。


増えすぎたシカを放置はできないため、やむなく捕獲している。一時は、63万頭にまで増えたシカも、平成22年度から26年度まで緊急対策期間を設けたことで、48万頭にまで下げることができた。捕獲数は13.6万頭。だが、その処理に困っている。焼くには大変な油を必要とする。埋めるにしても13万頭ものシカを何処にどうやって埋めるか。13万頭捕獲したシカのうち、スーパーなどを経て食料に供されているのは僅かに2万頭でしかない。残りはハンターが自宅で消費している。

中国から「鹿ろく茸じょう」を輸出してくれないかと問い合わせも来ることもある。しかし、これを実現させるには国と国との取り決めというところにまで踏み込んでいくことが必要である。


(註)鹿ろく茸じょう:シカの角は毎年生え変わるが、 古い角が落ちて新しい角が生えはじめるときの角を袋角と呼ぶ。まだ、骨化していないため、血が通っていて柔らかい。その形が茸(キノコ)に似ているところが、鹿ろく茸じょうという名の由来だという。漢方では、この袋角を切り取り乾燥させて 増血・強精剤などに用いる。