◆◇◆第6回エゾシカフェスタ2018 in 札幌(2018.9.16)①









2018.9.16. 第6回目となるエゾシカ・フェスタを開催した。「北海道150年―北の大地からのメッセージ」と題して、猛禽類医学研究所副所長の渡辺有希子獣医師が講演した。

会場は、北海道大学学術交流会館小講堂。まずは、昼食として、クラーク食堂で、エゾシカカレー、サラダ、スープを味わった。エゾシカ肉は、今年も又、西興部村「養鹿研究会」から無料提供されたものである。

フェスタ当日までには、アクシデントもあった。当初予定していた齊藤慶輔先生の喉の痛みによる講師交代、フェスタの10日前には、北海道地震があった。多くのイベントが中止になる中で、当イベントは続行した。余震が続く混乱の中、当日は136名の方が参加。齊藤先生からは、サイン入りのオリジナル絵葉書が参加者全員にプレゼントされた。これも予期せぬアクシデント。参加者が喜んでくださったのは言うまでもない。講演代行された渡辺有希子獣医師の若く颯爽とした姿は参加者を魅了せずにおかなかった。そして力強い講演。「エゾシカと猛禽類がそんな関係にあったとは知らなかった」と感想を漏らす方々が多かった。


予期せぬ出来事は終了後にも。ナント参加者のお1人から、感激したという長いお手紙を頂いたのである。私たちが発信したかった情報をまるで代理するかのように、当日の様子が詳細に綴られている。お手紙の主の了解を得て公開し、当日の報告に代えさせていただく。

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北海道大学のキャンパスに入ったのは、初めてです。広大な北の大地のシンボルにふさわしいたたずまいですね。もともとは「札幌農学校」だったとのことですから、北の大自然の中で、農業を基盤に豊かな北海道を造り上げていこうという、大いなる夢と希望を育くんだ出発点でありましょう。


そのキャンパス内の、かの有名な博士の名を冠とする「クラーク食堂」 でランチをいただくというのも貴重な経験でした。しかも、そのメニューが、エゾシカ肉のカレー。北海道の大自然の中で、自生の植物のみを餌として育った筋金入りの自然の食材を、クラーク食堂でいただく事に感激致しました。


正直、 今回の誘いを受けるまで、自然にも、エゾシカにも、特段の興味はなく、エゾシカ肉を食したのも初めてのことでした。かつて、臭みが強いと言われていましたが、最近は研究もすすみ、処理方法が適切であれば、実に美味しい肉だと聞かされてはいましたが、正に、その通り。

初めて食べた鹿肉は、 臭みもなく、脂身もなく、淡泊で柔らかいながら、しっかりした食感でした。クラーク食堂にお勤めのプロが作ったのですからカレー自体が美味しいのはもちろんですし、大変満足致しました。


 北大学術会館に移動しての、「猛禽類医学研究所、副所長の渡部先生の基調講演」も、実にすばらしいものでした。自然への敬意を忘れがちで、我が物顔で地球を闊歩している人間も、自然界の食物連鎖の中でしか存続しえないのだという当たり前のことを、再認識させていただきました。


そして、その自然界の食物連鎖の頂点は、大型肉食獣ではなく、オオワシ、オジロワシ、フクロウなどの猛禽類であることを、初めて知りました。 森進一さんの歌じゃありませんが、 猛禽類たちが傘となって、自然界の食物連鎖を守ってくれているわけで、「アンブレラ種」とは、実に的を射たネーミングであると思いました。

そして、渡辺先生が掲示された写真の数々は、道東の猛禽類たちが置かれている窮状を物語り、私たち人間のあり方に強い警告を与えてくれるものでした。そのキャンパス内の、かの有名な博士の名を冠とする「クラーク食堂」 でランチを頂くというのも貴重な経験でした。しかも、そのメニューが、エゾシカ肉のカレー。北海道の大自然の中で、自生の植物のみを餌として育った筋金入りの自然の食材を、クラーク食堂でいただく事に感激致しました。


正直、 今回の誘いを受けるまで、自然にも、エゾシカにも、特段の興味はなく、エゾシカ肉を食したのも初めてのことでした。かつて、臭みが強いと言われていましたが、最近は研究もすすみ、処理方法が適切であれば、実に美味しい肉だと聞かされてはいましたが、正に、その通り。  


初めて食べた鹿肉は、 臭みもなく、脂身もなく、淡泊で柔らかいながら、しっかりした食感でした。クラーク食堂にお勤めのプロが作ったのですからカレー自体が美味しいのはもちろんですし、大変満足致しました。


北大学術会館に移動しての、「猛禽類医学研究所、副所長の渡部先生の基調講演」も、実にすばらしいものでした。 自然への敬意を忘れがちで、我が物顔で地球を闊歩している人間も、自然界の食物連鎖の中でしか存続しえないのだという当たり前のことを、再認識させていただきました。そして、その自然界の食物連鎖の頂点は、大型肉食獣ではなく、オオワシ、オジロワシ、フクロウなどの猛禽類であることを、初めて知りました。 森進一さんの歌じゃありませんが、 猛禽類たちが傘となって、自然界の食物連鎖を守ってくれているわけで、「アンブレラ種」とは、実に的を射たネーミングであると思いました。








そして、その自然界の食物連鎖の頂点は、大型肉食獣ではなく、オオワシ、オジロワシ、フクロウなどの猛禽類であることを、初めて知りました。 森進一さんの歌じゃありませんが、 猛禽類たちが傘となって、自然界の食物連鎖を守ってくれているわけで、「アンブレラ種」とは、実に的を射たネーミングであると思いました。


そして、渡辺先生が掲示された写真の数々は、道東の猛禽類たちが置かれている窮状を物語り、私たち人間のあり方に強い警告を与えてくれるものでした。


 エゾシカが増え過ぎて、農作物が荒らされ、自動車事故が起き、人間社会の大きな脅威となっていることは、道民誰もが報道で知っています。 

 「対策としてエゾシカを駆除しているが、 それらがただ捨てられているだけではかわいそうだ。 命はすべて大切に利用しよう。それは、駆除されざるを得ないエゾシカにとってもよいことである。さらにそれを地域振興に活用できれば、一石二鳥にも三鳥にもなる」と、ここまでは、私をこのフェスタに誘った友人に聞かされていました。しかし、渡辺先生が講演でお話し下さった、エゾシカが増えすぎた影響はその認識を大きく上回るものでした。


列車にぶつかったエゾシカの亡骸は、線路付近に横たわり、それを食べる猛禽類たちが、列車事故に遭う。本州から来るハンターのなかには、北海道では条例で禁止されている鉛弾を使用する人もいるため、鉛弾で仕留められたエゾシカを食べた猛禽類が鉛中毒で死ぬ。そうして多くの猛禽類が命を落としている。

 エゾシカの増えすぎが、アンブレラ種を命の危機に追い込んでいる。アンブレラ種が危機になるというのは、とりもなおさず、生態系そのものが危機に瀕するということ。多くの人が知らなければいけない事実であると、痛感いたしました。


多くの人間が私と同様に、オオカミの絶滅に無関心で、乱獲と保護をくりかえしたエゾシカ対策のあり方にも無関心で、その結果招いた、北海道の大自然の守り神である猛禽類が置かれている窮状にも無関心であると思います。その無関心がジワジワと自分たちが生きる環境を壊してきていることを、痛感させられました。


  過日の大停電から、特に電力に対する関心が高まりましたが、はやりの「自然エネルギー」も決して自然に優しい発電ではありません。太陽パネルを設置するために切りひらいた森林は動物たちの棲み処であったろうし、風力発電の巨大プロペラは、北の大空を飛ぶ鳥たちにとっては脅威以外の何物でもないのだから。 


無関心な人間がこわしていく自然環境のなかで、猛禽類医学研究所の皆さんら、少数の志高い方々が命がけで貴重な猛禽類たちを守ろうとしている姿には、心が洗われる想いがいたしました。 24時間、365日、助けを必要とされている先生方の多忙さは想像に絶します。喉を傷めて療養中とお聞きしましたが、齋藤先生の一日も早いご快癒をお祈りします。 


 最後にお聴きした「北海道エゾシカ倶楽部」の武田会長の挨拶にも感心いたしました。

「北海道エゾシカ倶楽部」というのは、札幌消費者協会の数人の雄志で活動しているグループで、その熱意を、北海道消費者協会がバックアップしているそうですね。その発足に至った武田会長の熱い志には敬服いたします。


 自然環境の面だけではなく、また、ただ食べるといったイベントとしてではなく、「消費者」という目線から、社会を、自然を、食物を、産業を見ていくことが大切であり、その切り口としてのエゾシカなのだと、私なりに理解させていただきました。消費者協会という組織の意義も、少なからず理解できたように思います。 


 「エゾシカフェスタ in 札幌」 によって、これから関心を寄せていくべき多くの事に気づきましたが、とりあえず、自分にできることから・・・というと、今回、「エゾシカ」というキーワードから参加したのだから、まずは、エゾシカに関心を持っていこうと思います。エゾシカ肉を食べるだけでも、 エゾシカ製品を買うだけでも、自然界を守ることに貢献できるのですから、やらない選択はありません。


 このような貴重な機会をくださった消費者協会、及び、北海道エゾシカ倶楽部の皆様に感謝し、皆様の消費者啓発の取り組みに対し、深く敬意を表します。  貴協会のご繁栄をご祈念いたします。

 

2018年9月 北海道消費者協会様

北海道エゾシカ倶楽部様                  

 

                                菅原のりあき