![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=342x10000:format=jpg/path/sd776bcd33a72597d/image/i4e84c3b892a78926/version/1707475142/image.jpg)
エゾシカが増えた理由の一つは、森林行政の失敗ではないか。
本来は森林地帯に暮らすエゾシカやヒグマが街中に出てくるようになったのは、彼らが生きる森の中が変わってきたからだ。森を変えたのは、シカやクマたちではない。森林維持より経済を優先した人間なのである。
戦後復興のために木材が必要だった。建築部材として使えるスギやヒノキなどの成長が早い針葉樹を積極的に植林した。
※林野庁が「国有林生産力(林力)増強計画」(1957年策定)
![資料提供:鎌田顧問より](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=405x10000:format=jpg/path/sd776bcd33a72597d/image/i5d2d67f92c1cc550/version/1707476087/%E8%B3%87%E6%96%99%E6%8F%90%E4%BE%9B-%E9%8E%8C%E7%94%B0%E9%A1%A7%E5%95%8F%E3%82%88%E3%82%8A.jpg)
一方で、広葉樹を伐採(樹種転換)。やがて、安価な輸入材の影響で針葉樹が売れなくなり、森は手入れされないまま、実がつかない針葉樹だけが生い茂る場所になった→エゾシカやクマは生活しづらくなる→薪や炭の利用が減ったことで里山には実のなる広葉樹が多く残るようになる→結果として人間が彼らの生息域を人里に引き寄せることになった。
現在は農村・山村から人がいなくなることで耕作放棄地が増え、そこが拡大造林時代の草地の代わりにシカにとって格好の生息場所となった。耕作放棄地は、森の林床を食べ尽くす勢いのシカの新天地となっている。
※天然林や薪炭林を人工林へと変えていく「拡大造林」政策は1996年まで続き、天然林などの伐採でできた当時の草地は、シカの好ましい環境になった。