オーストラリアと北海道のシカ事情!



北海道とオーストラリア両国のシカ専門家の間で情報交換は続きます。Johnさんによれば、エゾシカの角は、オーストラリアや

ニュージーランドにいるどの鹿より優れていると思い、それを確認するために北海道に来られたとのことです。両国のシカに対する価値観の違いが明確になりました。


情報交換風景

 

 籠 田 日本では、自分のファームで繁殖させてまでシカを増

              やして利用するということはしていない。

             現状は野生シカをどう利用するかという段階です。 

ジョン シンガポールではシカの活用方法が進んでいる、生産量が

    上がっている小さな国の取り組みを参考にすればよいので

    は? 

鎌 田 北海道はシカの保護管理から始まって有効活用へと変わっ

    ているという事情がある。


ジョン 北海道では養鹿の専門家はいますか? 

鎌 田 北海道では、野生シカを捕まえて食肉のために飼う一時養鹿がようやく始まってきた。そのため、そのような専

    門家は存在しない。北海道でも最近になって漸く(鹿解体施設)数か所、存在するようになった。これはシカを食

    べる習慣が始まってきて、需要が追い付いてきたため。昔はハンターによる供給がいっぱいあったが食べる側の需

    要がなかった(食べてもマズイ)。

    明後日、ジョンさんが見学に行くと伺っている知床ファームの石川さんは養鹿による鹿肉供給を提唱している。

    石川さんは、ニュージーランドと北海道でこの事業を半々やっている。 

ジョン 今月末にニュージーランドに行く予定があるので・・・


鎌 田 これは、ニュージーランドの牧場へ視察に行った時の写真で

    す。このとき石川さんの牧場は隣にありました。 

ジョン この牧場はよく知っています。 

鎌 田 この時から(11年ほど前)、エゾシカは保護管理から有効

    活用へと大きく政策の変換があった。

    中国人からサンプルを見せてほしいとの要望があり、このよ

    うなシカの尻尾とかのサンプルを作成しました。 

ジョン これは空港免税店とかで売っていますか? 

鎌 田 売っていません。 

ジョン オーストラリアでは、シカの尻尾1本15ドルの卸値で取引されてい

    る。

    シンガポールでは最低1260シンガポールドル・・・。

    私の提案としては、こういうシカの尻尾とかを免税店で売ったら中国人、シンガポール人が群がるのではないか?

鎌 田 よく理解できるが日本では法律の壁がある。


ジョン(シカの本で)これは日本で発見された鹿の化石です。

    現在、ハンターが獲ったシカの角の記録をしていますか? 

鎌 田 北海道では、認証制度(ハサップ)により処理場で食肉の衛星管理として処理されたシカの内臓などの記録はす

    るが角はしていません。 

ジョン ニュージーランドなどでは、トロフィーハンティングで角の形のよいシカは獲られているので、劣勢の角のシカが増える。

    そこでどのような影響がでるのか、ニュージーランド、オーストラリアでは、鹿角の記録を細やかに残している。 

鎌 田 日本では角を流通するシステムはないのでこのような記録はしていないのではないかと思う。  


ジョン 過去70年の角の記録が残っており、昔より角の形は向上している。ここ(本)に、1928年にとられたシカ

    の角の情報があり、この種の鹿の角の形状の変遷を把握できる。 

鎌 田 シカを産業としてどのように成り立たたせてきたかをニュージーランドに視察に行ってきたところ、イギリス植

    民地時代に、ハンティングのためにアカシカを大量に輸入してきた経緯があり、それによって北海道のように野

    生シカの問題が生じてきたため、軍隊を派遣してシカの個体数管理してきたことから始まったようだ。 

ジョン この写真はポーランドの鹿(ドモスキー)だが、遺伝子的にはエゾシカと全く異なるが形がよく似ています。

    このシカは絶滅の危機に瀕しているため、エゾシカと交配させることで何とかならないか考察している。

    そのためエゾシカのデータを得たいです。


鎌 田  それはトロフィーハンティングのためですか?

ジョン このシカは、ロシアなどでよく見られるのですが、1900年代から2回絶滅の危機に遭いました。

            これから増やしていくためには、エゾシカのデータを取って科学的な分析をしたうえで、将来につなげたいし牧場で育てたい。 

鎌 田 絶滅危惧種であれば、国のほうで管理対策をしてくれないのですか? 

ジョン ロシアではどのような施策をとっているかわからないが、オーストラリアでは、国独自(隣接国にも住んでいる)

           の鹿ではないため対策は取られていない。

    私が懸念していることは、エゾシカが100年後に絶滅したときに子孫から、どうして鹿に関するデーター等をとってくれなか

    ったの?と言われないようにしたい。そのために、これからの数日、北海道に滞在するため、できる限り、エゾシカのデータを

    収集したい。


   シカのデータを取る方法としてポイントは8つある。

       ①角の形。4つに分かれた角、分岐点から長くないといけない。アカシカは低いところから出ているけど・・・正面から見ると角

    が一本に見えるのがベストです。


   自分の牧場でこのような質のいいシカを飼うために、エゾシカが活用(育て方など)できないか研究している。

   中国では、多くの種類のシカが交配されているので、シカの質が下がっている。このことからシカの種の管理にはかなり気を使っ

   ています。

   この中心にポイントをおいて、角の先端までの距離、幅などを数値化して評価しています。

   多くのサンプルをとって、数値化して、その平均値をとることを、エクセル計算表で行っている。私は、これに目標数値を設定し

   て、どのようにすればこの数値を達成できるか(鹿牧場で)を日々分析・研究をしている。この作業は自身が牧場を始めた1978年

   から継続している。 


シカ角のスコア表

シカ角のスコア表

シカ角の評価ポイント

シカ角の評価ポイント


鎌 田 このデータは数値化して、大学等の研究機関とタイアップして、改善方法を研究しているのですか?

ジョン 今のところ興味を示す研究機関等はあまりないが、もし興味があるならば過去のデーターを提供することもできま

    す。このシカのデータは、まわり(牧場仲間)?からも引き合いが多い。

    1970年代から、特に角に関するデータをとっているが、改良を重ねた結果、鹿牧場の鹿の角の部分の質の向上に

    は役立っている。

    なお(角の質向上のための)交配はしていない。同じ種類の鹿のみで行っている。改良の目的は、良い角を生産し

    て価値を高め、高価で市場に回すため。データを取っていないが、エゾシカの角は、オーストラリア、ニュージ

    ーランドにいるどの鹿より優れていると思い、それを確認するために北海道に来たのです。 

                                                                                                                                       (東野剛巳:記)