「第6回エゾシカフェスタ」2018.9.16 ②

~エゾシカ増加の影響は、まさかの空飛ぶ鳥にまで~


オオワシの写真
オオワシ

2018年イベントのテーマについては、様々な方から「何故、エゾシカ倶楽部がオオワシについてやるの?」という質問を頂いたが、北海道の大自然に生きる様々な野生動物たちが、食物連鎖という生態系システムを通して生命の循環を作り出し、切るに切れない密接な関係で繋がりあっているという事実が、当日の講師、猛禽類医学研究所副所長である渡辺有希子先生のお話からおわかりいただけたかと思う。 

エゾシカは美しい動物だ。しかし、増えすぎた。農林業被害、交通事故多発など人間界に悪影響を及ぼしている。しかし、シカが悪いわけではない。彼らは必死に生きているだけ。天敵のオオカミを滅ぼし、山野を切り開いて彼らの住処を奪い、自らの利害のために自然という環境を作り替えてきたのは、他ならぬ人間である。自然界で今、何が起きているか…それが私たちの生活と無縁ではないことを多くの方々に再確認していただきたかった。 


オオワシ、オジロワシなどの猛禽類は食物連鎖を通した生態系ピラミッドの頂点にいる。三角形の頂点にいるということは、数が限られているということ。食べられる側が食べる側よりも沢山いなければ、上位に位置する生物たちの生命を維持するだけの栄養が供給されない。生態ピラミッドの底辺は広くなければならないのだ。

底辺の生物たちが絶滅すれば、食う、食われるというバランスで成り立っている生態系は忽ち崩れてしまう。 


逆に、頂点に位置する猛禽類が健全であるということは、生態系全体が健全であり、自然環境も健全であると判断される。猛禽類が、まるで傘のように食物連鎖の下位に置かれている様々な動植物たちを保全しているともいえるからである。そうした役割から、彼らは「アンブレラ(傘)種」と呼ばれている。


生物多様性からの様々な恩恵(生態系サービス)なくして、私たちの日常生活は成り立たない。生存に必要な酸素も水も食物も衣服も医薬品も…全ては生態系サービスという自然界からの贈り物だからだ。日常の生活から水が消えたとき、どんな状況になるか、私たちは、つい10日前の北海道地震で経験したばかりである。


水は何処から来るか。水の源は森林である。森の木の根がしっかりと雨水を蓄えているからこそ、私たちは地下で濾過され、川を下ってくる水を飲むことが出来る。だが、エゾシカは食べ物が無くなると樹の皮を剥いで食べてしまう。樹皮をぐるりと剥がれた樹木は育つことが出来なくなり、森は破壊されていく。森に木が無くなれば、下草が無くなれば、大雨が起きるたびに土砂崩れが起きてくる。森が作り出した豊かな土が、大切な国土が流れてしまうのだ。


生物多様性からの様々な恩恵(生態系サービス)なくして、私たちの日常生活は成り立たない。生存に必要な酸素も水も食物も衣服も医薬品も…全ては生態系サービスという自然界からの贈り物だからだ。日常の生活から水が消えたとき、どんな状況になるか、私たちは、つい10日前の北海道地震で経験したばかりである。

水は何処から来るか。水の源は森林である。森の木の根がしっかりと雨水を蓄えているからこそ、私たちは地下で濾過され、川を下ってくる水を飲むことが出来る。だが、エゾシカは食べ物が無くなると樹の皮を剥いで食べてしまう。樹皮をぐるりと剥がれた樹木は育つことが出来なくなり、森は破壊されていく。森に木が無くなれば、下草が無くなれば、大雨が起きるたびに土砂崩れが起きてくる。森が作り出した豊かな土が、大切な国土が流れてしまうのだ。


私たちが未来に残すべきは、豊かな森、そして、生物多様性と言われる沢山の種類の生き物たちである。絶滅する生き物たちが増えて行けば、生態系サービスが失われ、人類は存亡の危機に立たされると言われている。

生物多様性があるからこそ人間は生きていける。生物多様性を大切にするということは、可愛いい動物を守る、綺麗な植物を守るという単なる愛護の意味ではなく、安心で、安全で、豊かな人間の社会を未来に保っていくためなのである。


当エゾシカ倶楽部は、消費者の立場からエゾシカの有効活用推進のため、立ち上げた研究グループである。オオカミがいなくなった今、人間の手で継続的に一定の数を捕獲して、適正な数に管理していく必要があることは否めない。そこで、捕獲されたエゾシカの供養のためにも、肉も皮も角も骨も余すところなく利用することで、彼らの命をこの世に繋ぎとめ、循環型社会の形成を目指そうというのが私たちの活動である。


2015年の国連総会で採択されたSDGsは、人々の生活を持続可能なものにするための17の目標を掲げている。エゾシカ問題の解決に向けた私たちの取り組みは、SDGsの達成にも貢献できると考える。

具体的には、エゾシカの有効活用は、森を守ることになり、目標15の「陸域生態系の保護」にあたる。森を守ることは、更に目標13の「気候変動対策」に繋がり、それはそのまま目標14の「海の豊かさを守る」ことに波及し、目標11の「住み続けられるまちづくり」に広がっていこうかと考えている。肉、皮、角の有効活用は目標12「作る責任」「使う責任」へとプラスの連鎖を生んでいく筈だ。

SDGsは、未来の子供たちに、こんな社会を残したいという目標でもある。この世界の潮流に乗って自分たちが掲げた目標にしっかりと向き合っていきたいと思う。