◇◆◇ 10.26 パネルディスカッション


パネリスト    天使大学看護栄養学部教授       荒川 義人氏 
  西興部養鹿研究会会長          中原 慎一氏
  (一社)エゾシカ協会専務理事)      井田 宏之氏
  北海道エゾシカ倶楽部顧問       鎌田 公浩氏
           コーディネーター  武田佳世子

コーディネーター:(来場者・道、市議会議員の紹介)

 

荒川:(配付資料に沿って説明)

  エゾシカ肉の栄養特性としては、タンパク質、脂肪、鉄、ビタミンB2に特徴がある。 

  日本人の伝統的な食生活、魚、豆などの栄養的バランスの取れた生活に、動物性蛋白質を摂ることで、平均寿命が延びた。 


  しかし、油の摂りすぎが問題になり、その点で高タンパク、低脂肪のエゾシカ肉は理想的だ。沖縄では豚肉をゆでて脂を落として

  いたので寿命が長かったが、今は違ってきていて長野に抜かれたのをみてもわかる。鉄は、女性、運動選手、子どもに必要。

 

  ビタミンB2は口内炎に良い。病院、学校、自衛隊の給食での活用で、食育とエゾシカ肉をリンクさせることにどういう意味があるの

  か、食育の大きな流れの中で考えなければならない。帯広市のように単発的に給食を行う分には良いが、恒常的に給食に取り入れる

  ためには、衛生管理や成分表をきちんとしなければならない。その上で道東では給食中心にエゾシカ利用を取り入れ、健康作り、地

  域の元気作りに取り入れるようにする。 


中原:私たちは有志10人でエゾシカ牧場を始めた。現在は6名で運営している。今、牧場には48頭のエゾシカがいる。主な活動とし

   て、北海道医療大学によるエゾシカの嫌がるエサの調査、日本テンソーによる車の衝突事故の調査、大学生へ研究活動の場の提供

   がある。シカ肉の処理、販売の一番の問題は、安全性と血抜き。私たちは年一回、西興部ホテルでシカ肉パーティーをして(啓蒙

   活動をして)いる。 


コーディネーター:エゾシカが増えていることに対して、道民1人1人はどうしなければならないか。

         1人年間300グラム消費すれば良いと考えている根拠について伺いたいと思う。

 

井田:現在、14万頭捕獲するうちの2万頭を処理している。シカ一頭を生きている状態で80キロとして可食部は20キロ。

   20キロ×2万頭=400トン。これが現在の状況だが、できれば10万頭くらい食べて欲しい。

   そこで、20キロ×10万頭=2000トン。これを基に道民数で割り出して、1人当たり年300グラム。

   1年に1,2回食べれば良い、逆に言えばこれしか食べられない。わかりやすいキャッチフレーズで理解して欲しい。 


コーディネーター:つまり、消費者は、年に300グラムしか食べられないと理解して、シカ肉消費に励んでいくということ。

         鎌田氏は元道議会議員として、エゾシカ対策に奔走したと伺っている。

 

鎌田:ニュージーランドに平成14年に行き、衛生面をどうするかを考えた。まず、食品衛生法に基づく北海道鳥獣取り扱いをクリアし

   なければならない。道路でハンターが血抜き処理などの一次処理を手早くする、道議会でそこを取り上げ、クリアした点で、今日

   の有効利用に結びついているのではないか。一般家庭にどう提供できるか、がハードルだった。衛生面など様々な部分をクリアし

   なければ需要と供給のバランスが取れない。保護、管理、有効活用が一番の問題だ。14万頭のうち2万頭しか食卓に届いていな

   い。 


コーディネーター:荒川氏に伺う。先日、地産地消の話をした中で、消費するだけではダメ、と地産地活を提唱されていたが、そのこと

         についてお聞きしたい。次に、先ほど自衛隊員がエゾシカを食べれば元気が出るとのことだったが、”元気のない”高齢

         者の介護食への活用についてどう思うか。

 

荒川:日本型食生活の素材はすべて北海道にそろっている。北海道は200%自給していて、そのうちの100%は本州の大消費地へ流

   れていく。これを積極的に活用する。北海道の生活にリンクさせるのが地産地活。エゾシカは自衛隊員だけでなく、アスリートに

   も良い。病院介護食、給食への利用のためには、成分表の作成が必要。そこをクリアすると、北海道独自の特徴ある食材となる。

 


コーディネーター:有効活用といっても、食べるだけではない。骨や皮を加工品として利用できる。西興 部村では、観光資源としての

         利用を考えている。その点に関する共同研究の話をして頂きたい。

 

中原:西興部村、滝上町、下川町のオホーツク山の上協議会、3町村で(それぞれの町村の特色を活かした)活用の調整を進めている。

   西興部町では、来年4月完成予定の処理場、200メートルの射撃場の建設予定もある。

 

コーディネーター:付加価値をつけていくと言うことですね。ぜひ多くの方々に西興部村で体験して欲しい。最後に鎌田氏に伺う。

         野生動物を食する事に対する消費者の懸念については、どう考えるか。

 

鎌田:安心・安全は大事。衛生面をどうするかはニュージーランドでは確立されていた。(日本では)衛生処理マニュアルでエゾシカ財

   団法人が認証する形を取る。 

  一番心配なのは一般流通の肉と、財団法人が認証してシールが貼ってある肉を区別すること。食品に対する視点を大切にしても

  らい、情報提供をしっかり受け止めてチェックして欲しい。シールを一般の消費者がチェックして購入することは処理場の人間の励

  みになる。処理場の人間が「やっぱり財団に入り認証した肉でないとだめなんだな」と思うようにしていって欲しい。

 

コーディネーター:コープ札幌でエゾシカ肉の販売が始まった。如何に、シカ肉の流通環境が整ったとしても本格的普及は、食べて購入

         する消費者があってこそ。エゾシカ倶楽部も消費者としての立場から今後いっそう、普及活動に励みたい。

 

                                               記録:松浦 まどか