◇◆◇地球温暖化でエゾシカはどうなる? 2014.4.17


2014年3月17日。独立行政法人「国立環境研究所」が、地球温暖化による日本への影響の予測を公表した。これは警鐘である。このまま、大気中の温室効果ガス濃度が上がり続けると20世紀末に比べ、今世紀末には気温が最大6.4度上昇。海面は約60㎝上昇。総面積201.9K㎡に及ぶ日本の砂浜も、その85%が消失する。

 

国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」第38回総会(於:横浜市3月開催)第2作業部会報告書を公表。

温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究」2014報告書

 

危惧されるのは生態系の異変だ。驚くべき速さで進む地球温暖化。それについていけない野生の生き物たちは、絶滅の危機にさらされる。北極や南極に住む動物たちにとっては致命的。高山植物も又しかり。温暖化のスピードに合わせて分布域をより高所へと移せばいいのだろうが、植生の移動には、それ相応の年月がかかる。未来に待ち受けるのは「消滅」というリスクのみ。人間世界もただではすまない。気候変動は既に始まっている。集中豪雨、土砂災害、斜面倒壊といった生活圏への脅威。その原因が温暖化にあることは誰もが気付いているところ。しかし、時計の針は戻せない。便利な生活も捨てられない。だとすれば、水質汚濁、コメの品質低下、外来生物による感染症の被害など、身近なくらしから安全と安心が奪われる。今世紀半ばには、熱さが原因で死亡する人が2倍以上に増えるとの記載もある。私たちは、これら気候変動の影響リスクを知り、今後の生活設計の中で、適応策を探り続けなければならない立場に置かれている。

 

さて、同研究所のホームページを更に辿ると、温暖化で生息域が拡大し、生存率が高くなる野生動物が存在することがわかる。ニホンジカ、ニホンザル、イノシシなどの大型哺乳動物だ。温暖化で、降雪期間が短くなり、積雪量も減少したことが、彼らの生存率を高め、作物被害を多発させ、人間社会との軋轢が増えてきた一因にもなっているようだ。作物被害が拡大すれば、農家の営農意欲は減退、耕作放棄地は増える。結果として、耕作放棄地は野生動物たちの住処となり、被害が更に増えていく。地域社会に与える影響は計り知れず、特に限界集落などでは、集落の存亡にさえ係る重大な問題に発展しかねない。

 

 

一方、温暖化が北海道に与える影響と我々の Yezo deer については、以下のサイトに詳しいので、是非、ご覧いただきたい。

 

折しも、釧路湿原にエゾシカが入り込み、絶滅危惧種に選定されている希少植物を食い荒らしているとのニュースがいま、流れてきた。

 

   えころぶ北海道 北海道環境科学センターニュース第23号

 


◇◆◇環境省予測 真夏日「平均52.6日増」温暖化進行で今世紀末


常に思うことだが、その日の天気は地球のご機嫌次第。大雨も大風も人の手でどうすることもできない。できることは後始末だけである。

 

2014年6月6日。環境省が21世紀末(2080~2100年)の気候変動予測を公表したことをテレビで知った。驚いたのは私だけではあるまいと思う。 


2014年6月6日。環境省が21世紀末(2080~2100年)の気候変動予測を公表したことをテレビで知った。驚いたのは私だけではあるまいと思う。

最高気温が30度以上の真夏日は全国平均で現在の約3週間から12.3~52.6日増加。最大で沖縄は1年の約半分、東京は3カ月強が真夏日になると予測。

一方で、最高気温が0度以下の真冬日は大幅に減少。環境省は、北海道の真冬日が現在の約一カ月半から最大で1~2週間程度に減るとしている。四季の豊かさが日本から消えていく。春と秋が極端に短くなるからだ。 


また、一日の降水量が1ミリ未満の「無降水日」が、東日本の日本海側や沖縄・奄美地方を中心に増加。更に、大雨の時の降り方がより激しくなるとも予測。それも「熱帯に近い極端な降り方になる」ということだ。

 

政府は15年夏に、温暖化による社会や経済への影響を軽減するための「適応計画」を策定する予定。環境省では。農業などの分野で具体的にどのような影響が生じるか分析し、今秋をめどに結果をまとめるとのこと。他人事ではない。私たちも身近でできることがあれば地球・子孫を守るため、力を尽くさなければならないと思う。