エゾシカと車との衝突事故。2017年は2430件(北海道新聞朝刊2018.10.24より)


報道によると昨年(2017年)は道内でのエゾシカと車との衝突事故が2430件発生、調査を始めた2005年以降で最も多かったという。ちなみに2016年の事故件数は1,936件。これまでの対策が功を奏し、シカが減ったとはいうものの事故件数は前年より実に494件(前年比25%)も増加していることに驚く。

 事故多発の要因として考えられるのは、エゾシカが好んで食べるドングリ(ミズナラの実)の不作。ドングリの実りは土中の養分と気象条件に左右されるが、昨年は土中の養分が少なかったことに加え、受粉後の花が成長する6月の長雨が重なったことが不作に繋がったようである。2011年にも事故件数は2306件と多年に比べ突出していたが、この年もドングリは不作だった。 


事故の発生件数は、月別にみると、10.11月に集中。この2か月間だけで半数近くの1,109件を占める。エゾシカは春夏に雌雄で別々に過ごすが、繁殖期の秋はオスがメスを求めて活発に移動する時期。越冬に備えて脂肪分が豊富なドングリを食べるが、不作だと人里などにも餌を求めて行動範囲を広げてくる。今年も天候不順などでドングリは不作だというから、車を運転する人は注意が必要だ。 


事故は暗くてシカの姿に気付きにくい午後4時から8時に多発しているのも特徴。エゾシカは、最大で体調1.9メートル、体重150キロに達する国内最大の草食動物。エゾシカの成獣に衝突すると車のドライバーや同乗者が負傷する場合がある。衝突を避けようと急ハンドルを切ることで、更に大きな事故に発展する可能性も。衝突により車両が大きな損傷を被る事例も多いという。17年度の車の修理費は平均52万円。万が一に備えて車両保険などの経済的準備なども検討しておきたい。但し、単独事故を補償するタイプの車両保険でないと補償されないことに注意が必要だ。(日本損害保険協会北海道支部HP)


事故を避けるためには、エゾシカの習性も理解しておきたい。日本損害保険協会北海道支部が作成した衝突事故防止の啓発チラシによれば、ポイントは以下の通り。

①エゾシカは急に飛び出す。日没前後は周囲が暗くエゾシカに気付きにくい。

②群れで移動する。1頭見かけたら2頭目がいるかも。

③道路では滑りやすい。アスファルトでは滑りやすい。焦って転ぶことも。

④道路上で動きが止まる。車のライトや走行音に反応すると立ち止まる! 

⑤夜間にライトが当たると目が光る。暗い時に光るモノがあれば、エゾシカが近くにいるのかも。 

 

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