趣味のエゾシカ狩猟に待った!私たちも無縁ではない。


銃による一般狩猟者の入林が道内全ての国有林と道有林で禁止された。禁止期間は1月15日からエゾシカ可猟期間が終わる3月31日まで。そもそもの発端は、昨年11月20日に恵庭市の国有林で起きたエゾシカ猟のハンターによる猟銃誤射での死亡事故。北海道猟友会は昨年末まで全道で趣味の狩猟を自粛してきたが、それだけでは済まなかった。


西興部村のシカ(高畑前村長撮影)の写真
西興部村のシカ(高畑前村長撮影)

国有林と道有林では規制内容が異なる。

国有林:全道の国有林で立ち入り禁止。銃猟入林禁止。土日祝日も銃猟入林は禁止。

道有林:狩猟のための入林は、土、日、祝日に限って認め、平日は狩猟目的の入林を禁止する

ただ、どちらも市町村の管理下で実施する有害鳥獣捕獲は従来通り積極的に推進するとあるから、捕獲が全くできなくなるわけではない。それにしても、道内でのエゾシカ被害が深刻な中、趣味目的の狩猟が担う役割は大きい。肉はおろか皮だって捕獲あってこその資源。これが禁猟となれば減っていた農林業被害が増加に転じるのは勿論のこと、ジビエの供給量にも影響が出る。食する機会があったとしても高嶺ならぬ高値の花となるかもしれない。 


何にもまして懸念されるのが、シカの個体数増加である。捕獲の圧力が緩めば、45万頭(H28年度)にまで減ったエゾシカも、再び、勢力を盛り返す可能性がある。ただでさえ、シカの繁殖力は驚異的。2歳になった雌の妊娠率は90%以上。放置すれば年20%の割合で増え、4~5年で2倍になる計算だ。土、日も平日も入林禁止となる国有林はシカにとって安住の地。しかも、今年は山に雪が少ない。雪が苦手なシカ達にとっては我が世の春だ。移動が活発になり、農業被害が増えることは間違いない。しかも、撃たれる危険が無いと知れば、人間は怖いものではなくなり(既にそうなっているが)、大群で市街地を闊歩するのではと危惧される。 


2日前、本州で起きたイノシシによるハンターの死亡事故。数カ月前には、出勤途中の若いサラリーマンがイノシシに襲われている映像も見た。それも駅近くの街中での出来事。過日の講演会で聴いた旭山動物園長坂東元氏の言葉が甦る。「北海道の大地はヒトとシカとの陣取り合戦。こちらが退けば、その分、距離を詰めてくるのは当たり前」だと。シカが増えればクマも増える。今どきのクマは冬眠をしない。シカの子を食べることで冬眠の必要がなくなったのだという。こうして肉の味を覚えたクマとの共生も新たな課題だ。野生動物とどう向き合っていくべきか。模索すべき時が来ていることを改めて認識する必要がある。


注:狩猟→秋から春にかけて解禁される猟期内に国立公園や鳥獣保護区以外で行われる猟をいう。

  有害駆除→季節に関係なく、猟経験のある人が自治体や地元農家からの依頼で鳥獣を捕獲すること。