冬眠あけしたヒグマが穴から出てくる季節。市街地付近に出没しやすくなる時期となった。
2021.4.3の読売新聞は、総務省北海道管区行政評価局が、クマ対策について各市町村から聞き取った実態調査(2020年10月から)の結果を報じている(全179市町村対象。173市町村が回答)。
それによると隣接する市町村と情報交換したり、道や国と連携したりしている自治体は2割程度。同局は「広域的な連携が進めば、対策が一層効果的に行われる」と指摘したそうである。過去5年間にクマが出没した自治体は、164市町村(94.8%)にのぼる。
クマは行動範囲が広く、縄張り意識もないため、行動圏も他の個体と重複。歩き回る範囲は、オスが数百㎢、メスが数十㎢と広い(札幌市HP)。当然ながら、各市町村の境界など気に留めるクマはいない。素人目には、広域的連携は当然のことと思われるが、情報交換を行っていたのは、33市町村(19.1%)のみ、道や国に支援を要請していたのは、僅か30市町村(17.3%)である。気になるのは「専門的知見を持つ職員がいない」とした市町村が153(88.4%)もあったこと。北海道だけの問題ではない。2019年に日本学術会議が示した「人口縮小社会における野生動物管理のあり方」という文書によると、野生動物管理の公開講演会に参加した全国各地の行政関係者47人の殆どが「鳥獣専門職員の配置が市町村・都道府県に必要」と回答している。
各自治体に専門的知識をもつ職員の配置が必要ではないだろうか。できれば、知識に加えハンター資格を持っている職員が欲しいところだ。クマを撃つことはシカを撃つことよりも難しいと聞く。ハンターは高齢化が進んでいる。その為にも、野生動物の保護・管理を担う人材を大学などで養成する仕組みが整備されればと願うところだ。