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板東元氏が語る!シカの数を増やしたのは誰なのか?


苫小牧消費者協会にて「もっと知りたいエゾシカA to Z」2017.11.30


北海道の野生生物と共存する為の知恵 旭山動物園園長 坂東 元氏


苫小牧市街地 此処にもシカが(写真)
苫小牧市街地 此処にもシカが

2017.11.30。苫小牧消費者協会・(一社)北海道消費者協会が主催した「もっと知りたいエゾシカA to Z」に参加。旭山動物園園長である坂東 元氏の講演をお聴きした。

講演テーマは「北海道の野生生物と共存する社会の姿とは」。

当日資料と手元のメモを元に坂東園長の講演概要をまとめてみた。言うまでもないが、園長は動物の生態を生き生きと見せる「行動展示」を発案し、旭山動物園を国内屈指の人気動物園に育て上げた方である。

*以下は坂東園長の添削を経て掲載する。


 

エゾシカ…こんな素晴らしい動物がいるだろうか。ところが、平成20年頃から「エゾシカ問題」が新聞などで取り上げられるようになる。シカの増加で、人の生活に関わる被害、そして森林や高山植物に対するエゾシカ被害が甚大となった。自然の生き物が自然そのものを崩壊させかねない存在にまでなってしまった。

 

5年前にハンター資格を取得し、旭川で毎年行われている個体数調整のための「巻き狩り」に参加。資格取得の経過がテレビ放映された為に、全国から非難が集中した。「動物を保護する動物園の人間が命を奪ってどうする!」というもの。「動物園見学にウチの子は参加させない!」というのもあった。その全てに対応してきた。

 


坂東 元氏の写真
坂東 元氏

しかし、考えて欲しい。命とは「生まれたら必ず死ぬから命なのである」。死を大切にできなければ生きていることも大切にできないと思う。毎年、10数万頭のエゾシカの命を奪って私たちの生活が成立しているのは事実である。この事実を私たちは共有すべきではないか。美味しい野菜が食べられるのも十数万頭の命を奪うことで成立しているのだ。

  

人の生活圏に一旦、足を踏み入れた動物は、どんどん侵入してくる。誰かがどうにかしないと私たちの生活基盤が無くなってしまう。人々は見えない所で起きていることには関心を示さず、見えるところに対しては感情的になる。関心は自分にとっての被害だけ。庭先に花を植えてシカが食べれば害獣。自分が関わっていなければ無関心だ。自然そのものが破滅に向かっていることに目を向けようとしない。


シカの数を増やしたのは一体誰なのか。生態系は「食う・食われる」のシステムで成り立っているが、最後の調整者オオカミを失った。命の連鎖を人の手で、断ち切ってしまったのである。もはや、エゾシカは人と共生できない動物になってしまった。交通網も整っていない明治時代に、たった20年間でシカの天敵オオカミを絶滅させたのだ。用いられたのは毒まんじゅう。オオカミは自分だけ良い思いをしようとはしない。良いものを見つければ群れに持ち帰るから、忽ち、絶滅するのも無理はない。オオカミ絶滅で、人とエゾシカは「共生から敵対へ」と変わった。オオカミと厳しい冬でバランスがとれていたシカの数もオオカミを失い、暖冬で冬の淘汰圧も弱くなった。食料も得やすくなった。結果エゾシカは増え続ける。


シカ対策に生態学的な視点が欠落していたのだ。なぜ、街中に出てくるのか。相手の生き方・生態を知らなければならない。雄大な大自然と言われる北海道だが、例えば自然を分断する高速道路が野生動物たちに与える影響を知る必要がある。ヒズメのある動物であるシカは、岩山を登ることもできるが、舗装された道路は苦手である。しかし、彼らは道路の向こう側に行きたいのだ。道路際や法面には大好きな芝もある。仕方なく、道路を横断する。道路上では銃は撃てないし、罠もかけられない。交通事故が多くなるのも当然であろう。外国では、動物たちのことを考え、道路を造る際には、彼らのためにう回路を作ったりしている。


エゾシカは草が大好き。昔は森の中にいたから増えなかった。森の中にそう沢山の草は無いからだ。人里まで出てくるようになったのは、これも人の為せること。無防備な牧草地、耕作放棄地、そこ此処に植えられた芝生で彼らの栄養状態が良くなったことも原因の一つ。愛護的な感覚から雌シカの駆除は長い間、禁止していたなど本格的な駆除も遅れた。市民の間から「どうにかしてくれ」と声が上がって、仕方ないからやろうと腰を上げても、もう遅い。


田んぼの被害も出始めている。田んぼでゴロゴロしているので、シカの臭いがついてしまうのだ。シカが増えれば熊の出没も増える。熊の食べる草をシカが食べてしまうからだ。熊はシカの子を食べている。食べるものさえあれば熊は冬眠しない。シカは通年でいるので、将来は大きな問題となるかも知れない。

今のところ、シカ対策には狩猟とフェンスしかないが、フェンスに絡まって死んでいるシカを熊は食べる。シカの増加は人の生活圏に熊を近づける可能性がある。


狩猟にしても、狩猟者の行動が読み切られつつある。シカは食べられる側の動物だ。自分を狙う生き物の習性を見抜いていくからだ。シカは鳥獣保護区など、撃たれない場所に集まっていく。シマフクロウのいる場所なら撃たれないことも知っている。結果、シマフクロウは住む場所を失う。人の家の庭先で赤ちゃんを産んだシカもいる。一番安全なのだ。街中なら銃を向けられる心配がないことを知っている。対策として第3の選択肢はディアドッグの養成だろう。本能的に犬を怖がらない動物はいない。犬はシカの臭いに異常に反応する。だが、最近では野良犬もいなくなり、何より犬の放し飼いができなくなった。


人間の都合で命を奪うべきではないとの考え方もあるが、シカは本来、食べられる側の動物である。彼らに、その感性がない筈がない。明日の命の保証がない野生動物が危険な場所に自ら近づくことはない。しかし、最近ではこれが無くなった。人間が導いたのだ。人間と野生動物との関係は陣取り合戦でもある。相手の態度に応じ、動物たちは距離を縮めてくる。取り返しのつかない事態が忍び寄っていることに気付かなければならない。 


相手だけを変えようとしてもダメ。エゾシカの増加は、私たちの営みが生み出したものである。本来なら、人間の福祉のために使われるべき税金が投入されて捕獲されていることを忘れがちである。結果として、奪った命の半分以上がゴミとして棄てられている。これでいいのだろうか。エゾシカを食文化に育てること。そのことがエゾシカを大切に思うことに繋がり、共存の未来が見えてくるのだと思う。 

旭山動物園は、今年で開園50周年を迎えた。オオカミをあしらった記念ロゴを作成した。オオカミは日本人が最初に絶滅させた哺乳類。二度とこのような愚を起こさないようにとの願いからである。 


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公益社団法人 札幌消費者協会「北海道エゾシカ倶楽部」 代表 武田佳世子

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